通過列車のタブレット交換(1)

単線区間の安全を守るための閉塞方式の一つが通票閉塞方式です。そのなかでも、タブレット交換は、現在ではほぼその姿を見ることができなくなりましたが、1990年代には優等列車が走るような路線でも現役でした。

特に通過列車のタブレット交換は非常に興味深く、何回か足を運びました。

交換駅に停車する列車であれば、駅員が肩にタブレットを持ち、運転士と手渡しで交換するイメージだと思います。しかし、通過列車では、タブレット交換のためだけに停車するわけにもいきません。そのため、走ってきた区間のタブレットはホーム上に投げ落とし、これから走る区間のタブレットは走りながらキャッチするということが行われていました。

こちらは、これから走る区間のタブレットがすでにセットされている状態です。

この駅を通過する急行列車がやってきました。

通過列車は、乗務員がこれまで走ってきた区間のタブレットをホーム上のキャッチャにひっかけて回収します。

続いて、これから走る区間のタブレットを走りながらキャッチします。

当時の車両には、こちらに出ているようなタブレットキャッチャーと呼ばれる金属のアームが装備され、それでタブレットを取得していました。実際に見た経験では、タブレットキャッチャーを使うより、乗務員が手で取るほうが多かった印象です。

こうして、通過列車のタブレット交換は停車をせずに行われていたのです。

なお、写真は急行「砂丘」なので、因美線のどこかの駅と思われます。